ライナー 逃げ足。 ライナー『戦士としての使命』

はてなアンテナ

ライナー 逃げ足

主人公の三沢は小さな出版社に 務める32歳の冴えない独身サラリーマン。 ある日、結婚相談所から紹介された 彼女の誕生日を祝うため、そして プロポーズするため指輪を買いに行く。 意を決して購入した指輪を 大事に持ち帰ろうとしたその時 得体のしれないグループに 拉致される。 三沢はそのグループのリーダーから 不条理なミッションを与えられる。 そのミッションを達成しなければ 三沢の命はもちろん、彼女の命も 危ういという。 三沢は彼女を救うためにも 必至でミッションをクリアして行く。 ところがそのミッションというのが おかしなミッションばかりで 街にたむろしている不良の一人を 殴って来いだとか、万引きして来い だとか。 逃げ足だけが取り柄の三沢には どれも不可能なミッションだった。 そして最後のミッションが ある暴力団組長を殺せという ミッションだった。 喧嘩もしたことのない三沢は 無事にミッションをクリアして 大好きな彼女を救うことが 出来るのか! こう書くと面白そうだが 実際に読むとまるっきり 面白くない。 ストーリーに無理がある。 ところどころにギャグっぽい 表現があるのだが 非常にお寒い。 新堂冬樹ファンには悪いが 私が彼の作品を読むことは 二度とないだろう。 どれくらい面白くないかは 自分の目で確かめてほしい。 下のバナーをクリックしたら この作品が買えるぞ。 その後、山形県米沢市に転勤した後、転職で福岡に舞い戻り、2014年1月から札幌、2016年4月から横浜に転勤、そしてようやく2019年10月に地元である福岡県へ凱旋。 やっぱ福岡が一番よかね~と思ってる。 つまり多趣味。 既婚、子供二人。 ソーダストリーム 自動広告 ワードバスケット 青い数字の日に更新してるよ。

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ライナー 逃げ足

「ジャン、追われているんだ、助けてくれ!」 そう言ってきたのが、例えば俺が密かに思いを寄せるコンミスのミカサだったなら。 俺は何をもってしてでも、彼女を守り通しただろう。 だが現実というのは全くシビアなもので、まず、ミカサがそんなことを俺に言ってくるはずもない。 どっちかといえば「(エレンを 追っている、ので(捕獲するのに)手を貸して」ってな内容になりそうだ。 更に現実逃避を止めて正面を見据えれば、さっきの台詞を吐いたのはミカサではなく、女性でもなく、共通点は黒髪だけという、身の丈2m近くのノッポだった。 必死の形相を浮かべた規格外にデカイ男が、全力ダッシュで此方へ向かって来る恐ろしい光景なんぞ目の当たりにすれば、そりゃ現実逃避だってしたくなるだろう。 関わり合いになどなりたくもない。 ちなみに此処は平日とは言えど、人も行き交うショッピングモールである。 通常なら通行人にぶつかりまくりそうな話なのに、その男はすいすいと器用に人ごみを避けての全力疾走だ。 追っている側が誰かは知らないが、まずあいつが追いつかれることなどないだろう。 現に、彼の後ろには人影も見えない。 つまり、俺の出番などないのだ。 グッドラック、のっぽくん。 凄まじい速さで逃亡しているのっぽに、俺は関わらないぞという意思を持って、彼のために道を空け、笑顔で手を振ってやった。 次の瞬間、疾風を纏って走り抜ける長身。 そして聞こえる舌打ち。 わーお。 あいつ、大人しそうに見えて結構ガラ悪いな。 まあ、頑張れ。 俺には関係ない。 あっという間に遠のく背中を見送り、さてスタジオへ向かうかと振り返った先。 「『ベル』待てこら!話しくらいさせろぉぉぉ!!!!!!!! 」 聞き覚えのありすぎる声と、これまた全力ダッシュしているであろう人影が見えた。 ああ、追跡者はライナーか。 こちらは先ほどの逃亡者とは違い、風圧で通行人を吹き飛ばさんばかりの無双走行である。 なにやってんだあいつら…と俺の肩ががくりと落ちた。 ちなみに、先ほど疾風を纏って走り去って行った男と、今まさにそいつを追いかけている男は、残念ながら両者とも俺の知り合いである。 黒髪のっぽの方は『ベル』。 今をときめく若手フォトグラファーだ。 対して追跡者はチェリストのライナー。 ヴァイオリニストである俺、そしてクラリネッティストであるマルコと組んでいるトリオのリーダーだった。 『ベル』とは最近知り合ったばかりで、正直な所よく知らないのだが、ライナーと俺は音大時代からの友人だ。 頼りがいがあり、実力も有り、音楽的センスにも恵まれている凄い奴ではあるが…いかんせん、少々手癖が悪いのが玉にキズで。 現在、どうやらライナーは『ベル』と、あまり知りたく無い理由で揉めているらしい。 かかわり合いになりたくねーなーと思いながら、俺は生温い目線で必死すぎるライナーを目で追った。 ライナーは俺には全く気づかず、横を走り抜けていく。 だが、既に『ベル』の姿はなく。 ショッピングモールの上階まで貫く吹き抜けの柵に激突して停止したライナーは、そのまま柵に掴まったままズルズルとしゃがみ込んだ。 ぜえぜえと肩で息をする彼を、さすがに放っておけない。 と言うのも、これから俺とコイツとマルコで、スタジオの音あわせがあるのだ。 追いかけっこを放置していれば、俺たちの予定がズレて迷惑を被るのはこちらである。 「『ベル』なら、とっくに逃げてったぜ?」 側に寄り、彼の肩を叩きながら教えてやれば、ライナーは初めて俺に気づいたように目を瞬かせた。 「ジャン、お前いつからそこにいたんだ」 「少なくともお前より先にいたな。 逃げて行く『ベル』にも遭ったが、あっという間に行っちまったぜ?」 告げれば、ライナーの肩がガクリと落ちた。 「聞きたく無かったから、あえて放置してたんだけどよ…お前、『ベル』に何したんだ?えらい避けられてるが」 訪ねると、ライナーの目が面白いほどに泳ぐ。 「いや…その…。 俺がちょっと勘違いしてだな…」 「おう」 「ええと、つまり…その…認識の相違というか…よく確認もせず『ベル』をわっしょーいして、どっこいしょー…みたいな…」 「…………おぅ」 「で、まぁ、ブチ切れられて、こっちも自棄になって終わり良ければ全て良しみたいな感じに無理矢理オリャァーみたいな……」 「オーケーオーケー、ストップ、もういい黙れ。 全然分からんが大体分かった」 「分かったのか。 お前凄いな」 「訂正する。 全く分からんが、とにかく聞きたく無いから黙れ」 「訊いてきたのはお前だろう」 憮然とするライナーはとりあえずおいといて、俺はヴァイオリンケースを担ぎ直し立ち上がった。 「ほら、油売ってねーで、とっととスタジオ行くぞ。 つかお前、チェロどうした」 「…いや、持ってたんだが『ベル』を見かけてな。 とりあえずサービスカウンターが側に在ったから預けてきた」 「…本気の追跡じゃねーか…馬鹿だろお前…」 「何を言っている。 チェロケース持ったまま走れるか。 風圧でケースが空中分解しかねん。 あいつの逃げ足マジでヤバいからな。 お前も気をつけろ」 「いや…知らねーし。 追いかけた事ねーし。 これからも追いかけねーし」 おら、さっさとチェロ受け取ってこい、と俺に促され渋々立ち上がったライナーだったが。 ふと、その目が鷹の目の様に鋭く眇められた。 「『ベル』!!!!!」 突如叫んで吹き抜けの手すりから身を乗り出すライナーの視線の先には、一階の出口に向かってスタスタと出て行こうとする長身の人影。 ライナーを撒いたと完全に油断していたのだろう。 彼の叫び声にビクリと肩を揺らした『ベル』は、キョロキョロと己を呼ぶ声の出所を探している。 と、俺の視界の隅でライナーが、ぐんっと伸び上がった。 え?と隣へ視線を向ければ、ガツンと吹き抜けの手すりが大きく揺れる。 ライナーの巨体が、まるでスローモーションのように、ふわりと手すりへ乗り上げた。 「え?!ちょっ…ライナー、早まるな、危ねぇっ…!」 ぎょっとする俺には全く目を向けず、ヤツが見据えるのはただひたすら『ベル』。 がしゃん、と音をたて、ライナーが手すりを蹴り、空中へ飛び出す。 ここ、3階。 おもわず伸ばした手は、空をつかんだ。 悲鳴を飲み込み、俺は視界から消えたライナーを追って、弾かれた様に手すりへしがみつき階下を見下ろす。 3階から飛び降りたライナーは、そのまま恐るべき反射神経でもって、2階の手すりを蹴って落下の勢いを殺し、更に1階に展開していたワゴン販売のパラソルを踏みつける。 そして分厚い布がヤツの負荷に耐えきれず破れる直前、まるでトランポリンの様に前方へぐんと跳んだ。 ダン、と僅かにもぶれずに片膝を曲げて着地の衝撃を逃したライナーは、そのままの勢いで地面を蹴り、立ちすくむ『ベル』へと突進していった。 「ヒッ!」と短い悲鳴を上げた『ベル』はまるで漫画みたいに小さく跳び上がり、再び逃げ出す。 しかしその様は完全に腰が引けていて、ああコリャ早々に捕まるな、と俺はため息をつきつつ、その場を後にした。 [newpage] スタジオに着くと、既にマルコがいた。 「やあジャン、遅かったな。 ライナーもまだみたいなんだよ」 「…マルコ…」 全くもって、この優等生は、いかなるときも時間に正確で俺は安心する。 クラリネットの手入れをしているマルコの両肩を掴み、正面から彼の顔を覗き込むと、不思議そうに「どうかしたのか?」と首を傾げられた。 「よくきけ。 ライナーは死んだ」 「…は?」 「あいつはもう駄目だ。 これからは俺達2人で生きて行くしかない」 マルコの目を真っすぐ見据え、真剣な声音で告げれば、何故か彼の顔がみるみると赤く染まった。 「ちょ、ちょっと待てよ。 2人で生きて行くとか…いや、それよりライナーが死んだとか冗談がすぎるぞ?!」 「いや、冗談じゃない。 ライナーは死んだ。 社会的に死んだ。 てゆーか死んでくれ」 「ジャンの願望が重すぎて戸惑う!あと顔が近いから離れろ!」 スキンシップに慣れていないマルコがジタジタと暴れだしたので、わりぃわりぃと手を離したら、何故か恨みがましそうな表情で睨まれた。 なんだ。 俺なんかした?からかい過ぎた?優等生難しいな…。 そわそわとマウスピースとバレルを付けたり外したりしているマルコをぼんやりと眺めながら、スタジオに設置されているソファーへ腰を下ろした。 俺もあまり詳しくは無いが、マルコのクラリネットは随所に彼オリジナルの加工が施されているらしく、チューニングはしつこいほど丁寧にこなす。 楽曲によってこまめにパーツを交換しているので、色々こだわりが在るんだろう。 ぼけーとマルコを眺めていたら、さっさと用意しろよと怒られてしまった。 「どーせライナー、もっと遅れるって」 「?連絡があったのか?」 「いや、途中で会った。 『ベル』追っかけてた」 面倒くさいので適当に返事していたら、マルコが何かを察した様に、ああ、と苦笑いを浮かべる。 「そういえば前に打ち合わせした時、『ベル』が首から黒いひげ剃りみたいなのぶら下げててね。 それ何?って訊いたらスタンガンって言ってたよ」 「…は?」 「ライナーが近寄る度にバチバチ威嚇してた。 ジャンが居なかった時だけど」 「完全に野獣扱いされてんじゃねーか…」 「どうせライナーがいつもの悪い癖だしたんだろうと思って、詳しくは訊かなかったけど。 まあ、仕事はきちんとこなしてくれるから別に良いけどね」 「…確かに…俺達には実害ねえけどさ…」 吐き出したため息は、妙に苦かった。 近々、俺達はインディーズでCDを出すことになっている。 そのCDジャケットや販促用チラシの写真を、今話題らしい若手フォトグラファーの『ベル』に依頼したのが、そもそもの発端だった。 元々ライナーが彼のファンで、俺達も以前からちょくちょく『ベル』のフリー素材だった写真をチケット用に加工させてもらったりしていたのだが、三人とも本人には会った事も無かった。 それが駅前のロータリーで路上ライブをしているときに、偶然『ベル』が通りかかり足をとめてくれたのがきっかけで、こうしてコンタクトを取る事に成功したという。 まさか、こんな近場に話題の人物が事務所を構えていたなんて、思いもしなかった。 世間は中々狭いもんだ。 ところが。 ここでライナーの馬鹿が何かやらかしたらしい。 まず、『ベル』から送られてきたデータのライナーにモザイクがかかっていた。 それは態とでは無かったようで、すぐに丁寧な謝罪と訂正データが送られてきたが…顔にモザイクかけるって、どんな猥褻物扱いだよ。 普通は怒っても良い仕打ちだが、ライナーは妙に神妙な顔をしているだけで、俺達は首を捻ったものだ。 その後も何度もやり取りをしているが、窓口は全てマルコである。 『ベル』のファンだと公言して憚らないライナーを差し置いて、だ。 ところが最初に『ベル』と打ち解けたのはライナーなのだ。 初めて出会ったその夜、4人で飲みに行った帰りも確か、2人で残っていたはずだ。 ライナーは完全に『ベル』に避けられている。 マルコの言う、ライナーの【悪癖】とは、気に入った人間を男女問わず、すぐに食ってしまう脳味噌海綿体野郎な性癖の事だろう。 つまり、それは…………………はい、やめ。 俺ストップ。 ゴリラがどんなバナナ食おうが俺には関係ない。 あわよくば腹でも壊してのたうち回ってろ。 それにしても、と俺はヴァイオリンを取り出しながら、こっそりマルコを伺う。 俺とのペットボトルの回し飲みですら、顔を真っ赤にして怒る潔癖性の優等生が、ライナーの所業に関して責めたりしないのが何だか腑に落ちなかった。 もしかしてアレか?俺との間接ちゅーが嫌だったって事か?俺限定?え?俺嫌われてんの? 思考がちょっと嫌な方向へ向かいかけた時、おもむろにスタジオの扉が開いた。 「悪い、遅くなった」 「おっせーよ!30分の遅刻だ飯おごれ焼肉食わせろA5特選ステーキだそれ以外認めねえ」 「もう、スタジオ借りている時間があるんだからな、さっさと準備してくれ」 ソファにふんぞり返って入り口に視線を向ければ、案の定ライナーがチェロケースを抱えて入ってきた。 その背後に。 「………拉致だ…誘拐だ…人権侵害だ…訴えてやる…そして勝つ」 完全に目の死んでいるノッポがライナーの後に続いて連行されてきた。 気のせいか、ライナーがツヤツヤしていて、『ベル』は憔悴している。 逃げない様にがっちりと腰を片手で掴まれている状態で、ぶつぶつと呟いている姿は異様だった。 心なしかショッピングモールで見かけた時より着衣が乱れている『ベル』から、そっと目をそらしつつマルコを伺えば、ヤツも目が泳いでいた。 予想外の『ベル』の登場に、あいつも動揺しているんだろう。 「あー、えっと、『ベル』?もしかして演奏風景を撮る為にきてくれたのかなー?」 明らかにカメラを持っていない『ベル』に向かって、マルコが乾いた笑顔を向けると、捕獲されたノッポはボロボロと大粒の涙を零し、ライナーがニヤリと笑う。 「今日はコイツはただの見学者だ。 別に部外者って訳じゃねえし、構わんだろう?」 「…そりゃ、いいけど。 えっと、『ベル』泣いてるよね?」 「気にするな。 それより縛っておくロープ的な物無いか?」 「け、見学者を緊縛するのは感心しないな!!!ねっ?ジャンンン?!」 「おおお俺に振るな!俺は何も見えねえし!聞こえねえ!」 「ジャンめ…僕を見捨てた事、一生忘れない…バナナの皮を踏んずけて転べ」 「おい聞こえてんぞ、この直立ひじき!」 ぐすぐす泣いているくせに、俺への恨み言はキッチリと零してくるあたりムカつく。 イラッとしたので、手加減無しに頬を摘んで引っ張ってやったら「ひゃめろうあづあー」とか謎の言葉を発しながら執拗に脛を蹴ってきやがった。 「『ベル』、ジャンを馬面なんて言っちゃ駄目だ」 「ぅおおいマルコ、お前俺がわざと聞こえないふりした部分を正しく言い直しやがって。 てゆうか、悪口嗜めるよりコイツの足癖どうにかしろよ?!」 「ジャンお前、俺を差し置いて『ベル』とじゃれ合うな!」 「お前の目ん玉、はちみつグミでも入ってんの?!これをどうみたら仲良しさんに見えんだよ!!!つか代われ!」 「そうしたいのはやまやまなんだが、俺が前に立つと『ベル』は躊躇い無く頸動脈を狙ってくるからな…」 「え。 何それ想像以上にデットオアラブ」 とにかく時間に限りがあるからとっとと音合わせするぞ!というマルコの至極まともな意見に、漸く我に返った。 そうだった。 ライナーの馬鹿が妙な事をしでかすから忘れていたが、俺たちだって暇じゃない。 やっとのことで三人の予定を合わせ取れた貴重な時間を、無駄にするわけにはいかなかった。 それぞれ大急ぎでチューニングを開始し、アイコンタクトを交わらせた瞬間、勢い良く俺のヴァイオリンの弓が滑り出す。 大空を滑空する鳥のようなヴァイオリンの音色と、そこへ風のように寄り添うマルコのクラリネット。 宙を飛び交う俺たちの音に大地の存在を感じ取らせ、音によって作り出される空間に安定感をもたらすライナーのチェロ。 純粋に、凄い奴らだな、といつも思う。 もちろん俺は自分のヴァイオリンが大好きだし、自信をもっている。 しかし、そこにこの二人の音が組み合わさったとき、絵画が映像となって動き出したような、劇的な変化を遂げるのだ。 もちろんオケで合わせる楽曲だって、自分が巨人になったかのようにぐんぐんと膨れ上がる高揚感は覚える。 しかし大人数によって奏でられる大河は、ただ一人の奏者のちっぽけな音色など激流の中に飲み込んでしまうのだ。 その点、トリオはいい。 自分の存在を見失うこともなく、かつ一人では決して生み出せない音色を紡ぎだし、更なる高みへと昇りつめられる。 何だかんだで俺たちは結構努力家だ。 集まることが出来ない間も個人の練習は欠かさないし、定期的にそれぞれの音録りをして編集し、共有している。 久々の三人揃った音合わせは、何の違和感もなく交じり合い、ひとつの完成された楽曲へと変化を遂げた。 なんて気持ちがいいのだろう。 うっとりと目を細めながら、俺はここに居ないコンミスを思い描く。 今から入る箇所は、まさに黒髪の乙女が艶やかな髪をなびかせ、くるりくるりとワルツを踊るイメージだ。 もちろん、今俺の中ですらりとした手足をしなやかに伸ばし踊る女は、ミカサである。 彼女がダンスをしているところなど見たこともないが、そこは俺の優秀な脳みそが完璧な補正を行っているから問題ない。 あまりの麗しい妄想に、思わず涎を垂らしそうになり、俺はイカンイカンと表情をキリリと引き締め、前方へ視線を向けた。 そこには無色透明な存在があった。 己の存在などまるで存在しないかのように完璧に気配を消したそいつは、音色の渦にかき回されるこの部屋の空気を堰き止めることもなく溶け込んでいる。 そして、自然な動作で、有るがままの俺たちを、手に持ったスマホのカメラで丁寧に丁寧に切り取っていた。 木陰で風が吹くように。 水面がゆらゆらと揺れるように。 陳腐なカメラを無心にタップするその姿は、透けて解けて消えてしまうのではないかと思ってしまうほどに、透明な存在だった。 なるほど、これがライナーが惚れ込んだ、『ベル』という写真家なのか。 俺はこのとき初めて、彼の生み出す作品が、ただ有りのままであったその理由を理解することができた。 『ベル』というフォトグラファーが撮るものは、美しいが個性がない。 その評価は確かに妥当だろう。 彼はただ、被写体の存在する空間にその身を溶け込ませ、自然に生み出された美しい一部分を切り取っているだけなのだから。 誰もが見たことのある、そのあえやかな側面は、見る人を惹きつけ焼き付け記憶に残すけれど、そこに撮影者の個性などは不要だ。 そんな実力を持つフォトグラファーが、ありのままの、なんら装飾されていない、かつ最高の俺たちを撮ってくれている。 もしかして、これは物凄く喜ばしいことではないのだろうか。 在るがままの俺たちを世間に知ってもらうのに、『ベル』ほど適している伝道師はいないだろう。 その後も、俺たちはひたすら無心に個々の音色を画き鳴らし、意識を持っていかれそうになるまで続けた。 ふと気がつくと、スタジオに取り付けられた扉の小窓からポカンと呆気にとられたように此方を覗き込んでいる、次のグループが待っていた。 借りていた刻限も迫っており、俺たちは慌てて機材を片付けて撤収する。 本当はまだまだ弾き足りない気持ちでいっぱいだったが、俺もマルコもこの後バイトの予定があり、泣く泣く解散することとなった。 「なんか…久々だったからかな、いつもより燃えたなー」 「うん、なんでだろう?『ベル』が僕たちを一生懸命撮ってくれていたからかな?頑張っちゃったね…ぅわ?!なに、『ベル』、どうしたんだ?!」 次のグループに頭を下げてスタジオを後にしながら、マルコと談笑していると、ふいにマルコが素っ頓狂な声を上げた。 みれば、奴の腰に涙目の『ベル』がしがみ付いており、さらにその襟首をライナーが掴んでいる。 「マルコどこいくの?!僕も一緒に行く!」 「え?!これから僕、塾のバイトで…」 「数学英語に理科社会、なんでもいけるよ?僕もどう?!」 「どうって僕に言われても!」 「なんなら荷物運びでも良いから置いていかないでー!」 うん。 マジ泣きだ。 これは関わり合いになりたくない。 ……なりたくは無いが……。 マルコが助けを求める眼差しで俺を見てくるから、さすがに見捨てるわけにはいかなかった。 「俺は飲み屋のバイトだけど。 お前、客でよかったらくる?」 「おーいいな。 よし、俺と『ベル』で行くか」 「やだー!僕はマルコの荷物を運ぶという使命がー!」 …ゴリラの乱入により、俺のささやかな救いの手は叩き落とされたのであった。 「お前らな、一回ちゃんと話し合え。 俺らが迷惑だ」 「言っておくが俺はずっとそのつもりだ。 コイツが逃げるのが悪い」 「話すことなんてないね、僕は雰囲気に流されやすいんだ。 きっとライナーに上手く丸め込まれて終わるに決まっている」 いや、そんな堂々と海草系男子宣言されても。 お前一応個人事業主だろうが。 どうやって仕事の交渉してんだよ。 「まぁ、ある意味、流されやすいから話し合いはしないという強い意志はあるみたいだけど」 「矛盾してんなー」 意志薄弱主張をしてはいるが、俺は知っている。 こいつ結構頑固だぞ。 それはライナーも承知しているようで…まぁ、あれだけ散々逃げ回られたら身にも沁みているか。 「とにかくさ、『ベル』も逃げてばっかりじゃダメだよ。 ライナーは根性の塊だから、話し合いに応じるまで追いかけ続けると思うよ?」 さすがマルコ。 意見が的を得ている。 『ベル』もそれは嫌だったらしい。 不承不承頷いて、ライナーを大いに喜ばせた。 とりあえず二人きりは嫌だと頑として譲らなかった『ベル』の主張は受け入れられ、二人は俺のバイトしている飲み屋についてくることにしたらしい。 まぁ、人目もありゃ、ライナーだって無体はしないだろう。 と、思ったのだが。 ライナーと『ベル』を放り込んだ半個室の呼び出しチャイムが鳴り、いそいそと注文をとりにいった俺が見たものは。 腹に相当重いボディーブローを食らったらしいライナーが、ちょっと泡を吹きながら悶絶している光景だった。 当然のように、『ベル』の姿は既になく。 ライナーの後頭部には、丁寧に伝票が張りつけられていた。 ライナーが何をやらかしたのかは知らないが。 お前ら…ほんといい加減にしろ。

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ライナー 逃げ足

アルミン「大変だああ!エレンが酔ってる!!」 ssnote• アルミン「大変だああ!エレンが酔ってる!!」 作品にスターを付けるにはユーザー登録が必要です! 今ならすぐに登録可能!• この作品は執筆を終了しています。 アルミン「大変だああ!エレンが酔ってる!!」• 22867• Good• をクリックすると、その人の書き込みとそれに関連した書き込みだけが表示されます。 表示を元に戻す• 」 アルミン「分からないんだ!!でも…っ!」 エレン「えへへへ、いい気分だにゃ~」 アルミン「……ね!」 ジャン「おいおいおい、マジかよ」• 完全に酔っぱらってるな。 」 ベルトルト「でもこんなところにお酒なんてないよね?」 ジャン「確かにな」 コニー「じゃあどうして…?」 アルミン「は!また、あの人の仕業じゃあ…っ!!」 ハンジ「正解だよ、君たち。 」 ジャン「間違えて?」 ハンジ「そうそう。 前に投与した甘えん坊になる薬を投与しようと思ったら、リヴァイがすり替えてたらしくて……あちゃー、やられたなー。 」 ライナー「じゃあ、酔っぱらう薬を?」 ハンジ「そうそう。 それをリヴァイに飲ませようとしてたんだけど、エレンに飲ませちゃうなんて……あーあ。 」 ベルトルト「偉く落ち込んでますね。 」 ハンジ「まあね。 ……でも、エレンもこれはこれで可愛いからいいけどさ。 いつも楽しみにしております! エレン「んー、眠いなー暑いなー」 ジャン「にしても、今が夜で良かったぜ。 」 アルミン「確かに。 とりあえず、今日は女子に会わなくて済むしね。 」 ライナー「でも、この状況のエレン、どうすんだよ?」 コニー「さっさと寝かそうぜ。 そしたら戻るんだろ?」 ハンジ「待ちたまえ!諸君!」 アルミン「え?」 ハンジ「そんな勿体ないことをしてどうするんだ!エレンで試したいことは山ほどあるんだ!」 ベルトルト「 やっぱり、変態だ。 」 エレン「んー?」 ハンジ「手を握ってみてくれるかい?」 エレン「ハンジしゃんの?」 ハンジ「ああ。 」 エレン「ぎゅー」 ハンジ「うん、いい子いい子」 ジャン「 変態だ 」 アルミン「 変態がいる 」 ライアー「 俺よりも変態……って、俺は変態じゃなかった 」 ベルトルト「 あれは変態だよね、絶対 」 コニー「 あんな大人にはなりたくない 」• 」 アルミン「どうしたんですか?」 ハンジ「この薬には副作用があるということをみんなに伝えていなかったね。 」 ジャン「……別にエレンのことなんだったら、言わなくてもいいっすけど」 ハンジ「いや、これはエレンが被害者というよりは、私たちが被害者になる可能性があるんだ。 」 ライナー「どういう意味だ?」 ハンジ「まあ、見てれば分かるんじゃないかな。 朝から晩まで見てればわかるんですね。 了解でふ• ……誰かエレンに近づいてくれない?」 ジャン「え?それ、必要っすか?」 ハンジ「私も確実にこの副作用が出るのか検証してないから分からないんだ。 ……そのためにも、ね!」 コニー「じゃあ、ジャンケンすっか?」 ベルトルト「またジャンケン?」 ライナー「まあ、それしか決め方はねえよな!」 アルミン「ジャンケン、ポン!」• 今までの作品、最高でした• 行ってきてくれるかな?」• 今日はさっさと寝ちま」 エレン「あー、ジャンらー。 うぃーっす」 ジャン「呂律回ってねえぞ。 エレン。 」 エレン「えへへへへ、ジャン」 ジャン「お、おい。 お前…!顔ち」 エレン「ちゅー」 ライナー「あ」 ベルトルト「あ」 アルミン「ひぃっ!」 コニー「う、うわー」• うん、いい検証になった。 」 コニー「わ、分かってたんっすか!?」 ハンジ「もちろん。 だが、物事は実験してみないと分からない。 まあ、言ったところでみんな進んではやってくれないと思っていたしね。 」 ベルトルト「それは誰もやりませんよ。 」 ハンジ「さて、副作用も実証されたことだし……、リヴァイを連れてこよう!!」• 」 ハンジ「よし、ではリヴァイをここに呼んでくるよ。 本当可愛い。 応援ありがとうございます!頑張ります! アルミン「あ、行っちゃった。 」 ライナー「この状況で置いて行くのかよ。 」 コニー「ジャンの野郎、気絶してるぞ。 」 ジャン「………」 ベルトルト「ご愁傷様、ジャン」 アルミン「さて、これからどうする?」 ライナー「どうするって言われてもなー」 コニー「とりあえず、寝かせればいいんだろ!それしか方法なんてねえよ!」 ベルトルト「まあ、それが一番の解決策だよね。 」 ベルトルト「どうして?」 アルミン「これで女子なんて巻き込んだら、やばいことになってたよ。 」 ライナー「ああ ミカサあたりが 」 アルミン「 ミカサが 」 ベルトルト「 あー、ミカサか 」 コニー「何か、想像できるところが怖いよな。 」 アルミン「今はそっとしておこう。 」 ベルトルト「ここは、勝つしかないね。 」 アルミン「ジャンケン、ポン!!」 コニー「どんまい、アルミン」 アルミン「ま、まあ、負けたものは仕方がないよね。 」 ライナー「タオルでも巻いてくか?」 アルミン「いや、いいよ。 このままで」 ベルトルト「 チャレンジャーだな、アルミン 」• ひっく」 アルミン「え、エレン。 今日はもう遅いから早く寝よう。 」 エレン「んー?眠いんらけど、眠くないんら!」 コニー「いや、意味分かんねえよ。 」 ライナー「シ!ここは、黙っとけ。 」 アルミン「じゃ、じゃあ、子守唄でも歌ってあげようか?」 エレン「いや!そんら子供みたいらことすんら!」• 」 コニー「あのアルミンが投げやりになってんぞ!」 ベルトルト「珍しいこともあるものだね。 」 ライナー「いや、これは投げやりにもなりたくなるだろ。 」 アルミン「 さて、どうやって寝かそうか。 何かいい案はないかなー 」 ライナー「!?お、おい!アルミン!!」 エレン「隙らり!」 アルミン「え?」 エレン「ちゅー」 アルミン「……………っ」 エレン「えへへへへへ」• 絶対誰か犠牲になる。 」 ライナー「そ、そうだな。 この作戦はやめとこう。 」 ベルトルト「 ……いつも以上にエレンが恐ろしく見える 」• 上手くいけば気絶して、元に戻るんじゃねえか?」 ライナー「試してみる価値はあるな。 」 コニー「……何投げるのかが問題だよな。 」 ライナー「気絶してるジャン、投げるか?」 ベルトルト「…………」 コニー「…………」 ライナー「…………」 ベルトルト「いや、それはやめておこう。 」 コニー「そうだな、流石に可哀想だ。 」 ライナー「悪い。 俺もやりすぎた。 」 コニー「それで気絶するかあ?」 ベルトルト「まあ、試しにだよ。 」 ライナー「じゃあ、俺が投げてみる」 ベルトルト「あ、うん」 コニー「頼むぞ!ライナー!」 ライナー「狙いを定めて…っと!」 エレン「うわ…っ!」 コニー「ナイス!」 ベルトルト「気絶してくれ!」• 顔、青いよ?」 ライナー「そりゃあ、青くもなりますよ。 」 ベルトルト「僕、もうエレンと同室やだ。 」 リヴァイ「おい、クソガキ共。 どういう状況だ?」 ハンジ「さあ、リヴァイ!エレンの元へ行ってきて!」 リヴァイ「あぁ!?」• 」 ライナー「あ、あのー…」 ハンジ「ん?」 ライナー「申し訳ないんですが、この状況早くどうにかしてください」 エレン「ちゅー、しらい」• 」 リヴァイ「おい、クソメガネ。 これはどういう状況だあ?」 ハンジ「どういうって?」 リヴァイ「今度はエレンに何を飲ませた?」 ハンジ「リヴァイに飲ませるはずだった、酔っ払い薬だよ。 」 リヴァイ「何だ、と?」 ハンジ「そこに屍が二体あるところを見て、エレンのキス魔の餌食になったの?」 コニー「そうです。 」 リヴァイ「ち、冗談が通じねえ野郎だ。 」 ハンジ「それよりも、エレンのところに早く行って!私は君とエレンがじゃれ合っているところが見てみたいんだ!」 リヴァイ「とんだ変態野郎が。 」 ハンジ「褒め言葉をありがとう。 」 リヴァイ「ち」• ……これで気が済むんだな、ハンジ」 ハンジ「もちろん!」 ベルトルト「 流石、人類最強! 」 コニー「す、すげえな、おい」 リヴァイ「おい、クソガキ」 エレン「んー?何れ、リヴァイ兵長ら?」 リヴァイ「ち、本当に目イッてやがんな」 エレン「ちゅーしてくらはい」 リヴァイ「死ね」• 」 ハンジ「え?」 リヴァイ「誰と誰がキスするだあ?そんなこと誰が決めたんだ。 」 ハンジ「でも酔っぱらってるエレンをどうやって止めるんだい?」 エレン「兵長~?」 リヴァイ「ち、クソガキのくせに手こずらせやがって」 エレン「?」• ……常に常備してんだよ。 」 ハンジ「何でそんなもの常備してんの!?」 リヴァイ「テメエの薬の被害者を大人しくさせるためだろうが!!」 コニー「……やっぱり、人類最強だよな。 」 ベルトルト「兵長だけは敵に回したらいけないね。 」 ライナー「とりあえず………助かった」• 」 ハンジ「あ」 リヴァイ「……お前はやはり削がないといけないみたいだな。 」 ハンジ「あ、ははははは。 ……じゃ、私はこのへんで失礼するよ。 」 リヴァイ「ち、逃げ足だけは早いな」 ライナー「あの、本当ありがとうございました。 」 リヴァイ「ああ。 」 コニー「ついでにアルミンとジャンも運んでやろうぜ」 ベルトルト「今回の一番の被害者だもんね。 」 エレン「すやすや」 ライナー「 何で俺らはいっつもこうなんだろうか 」 コニー「 もう、懲り懲りだ 」 ベルトルト「 ……幸せそうに寝ているエレンが、今だけは物凄く憎く感じる 」 終わり• エレン、酔っ払いも可愛いなー。 さて、次回作はどんなのにしようかなー? 王様ゲームor幼女たち! 今現在、迷い中です。 また、トリップを使用することができます。 詳しくはをご確認ください。 トリップを付けておくと、あなたの書き込みのみ表示などのオプションが有効になります。 執筆者の方は、偽防止のためにトリップを付けておくことを強くおすすめします。 本文 2000文字以内で投稿できます。 0 投稿時に確認ウィンドウを表示する このSSは未登録ユーザーによる作品です。 「進撃の巨人」カテゴリの人気記事• 「進撃の巨人」カテゴリの最新記事• 「進撃の巨人」SSの交流広場• Powered by Luilak.

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